专利摘要:

公开号:WO1989003425A1
申请号:PCT/JP1988/001044
申请日:1988-10-14
公开日:1989-04-20
发明作者:Yoshikazu Kurosawa;Akira Awaya;Yusaku Ishizuka
申请人:Mitsui Toatsu Chemicals, Incorporated;Mitsui Pharmaceuticals, Inc.;Educational Foundation Fujita Gakuen;
IPC主号:C12N15-00
专利说明:
[0001] 明 細 書 免疫グロブ リ ン遺伝子関連 D N A断片 技 術 分 野
[0002] 本発明は免疫学、 遺伝学、 癌研究の分野で、 哺乳動 物、 特に高等動物の免疫グロブリ ン産生のクラスス イ ッチ機構に関与する新たな D N A断片に関する。 更 に本発明は、 これら D N A断片の発現自体、 及びこれ ら D N A断片の機能を利用したクラス特異的免疫グロ ブリ ンの産生方法、 あるいは該産生方法に用いる株化 細胞の樹立に必要な技術に関する。 背 景 技 術
[0003] 免疫遺伝学の研究の進展により、 免疫グロブリ ン遺 伝子は B細胞系の細胞に特異的に発現する遺伝子であ り、 その発現は B細胞の分化 ♦ 成熟の過程にと もなつ て、 調節 · 制御されているこ とが明らかにされてきて いる。 [利根川進 ; 免疫認識の分子生物学, 蛋白質 核酸 酵素, (3 )、 239〜( 1 9 87 )および黒沢良和 ; 免 疫応答系の多様性発現機構、 蛋白質 核酸 酵 素 、 3i (9 ) , 7 56 〜( 1 986 )参照] 。
[0004] ヒ 卜免疫グロブ リ ン重鎖 (以下 H鎖という ) 遺伝子 の全構成は H鎖可変領域 (以下 V H という ) 遺伝子、 H鎖 D領域 (以下 D H という ) 遺伝子、 H鎖 J領域 (以下 J H という) 遺伝子および不変領域 (以下 C と いう ) 遺伝子の順で成り立つている。
[0005] 不変領域遺伝子の配列順序は、 C — C S — C "T 3 - C r 1 - C ε - C a i - C γ 2 - C r 4 一 C s — C α 2 となっている。 また各 C遺伝子の上流に、 C S 遺伝子の場合を除き、 スイ ツチ配列 (以下 S という) と呼ばれる特徵的な繰り返し配列が存在する。 即ち S 、 S 丫 3 、 S r 1 , S ψ ε S a i S 丫 2 、 S r 4 x S s、 S a 2 である。
[0006] B細胞の分化過程で、 これら遺伝子は 2 種類の D N A再配列を行う。 1 つは V H — D H — J H 結合で あ り 、 これによ り完全な活性型 V遺伝子が形成され る。 いま 1 つは H鎖クラススィ ッチのための 2つのス イ ッチ配列間 (たとえば S μ と S の間) でおこる再 編成である。
[0007] これら 2種類の D N A再配列のいずれにも通常、 介 在配列の欠失を伴う。 またェン Λンサ一配列は J H 遺 伝子のすぐ下流に固定されている。 これまで解明され た知見の大筋はかくの如くであるが、 免疫グロブリ ン 産生調節機構は未だ未解明の部分が多い。 発 明 の 開 示
[0008] 本発明の目的は、 免疫グロブリ ン産生調節機構の解 明やその医学的または産業上の応用に極めて有用な技 術を提供するこ とにある。
[0009] 本発明者らは、 多様な抗原に対応して、 B細胞系細 胞が分化し、 その分化過程で抗体遺伝子間に相互作用 が起き、 多様な抗体を産生するメカニズムやクラス特 異的な抗体の産生機構において未解明の問題について 検討する過程で、 特に H鎖における免疫グロブリ ンの ク ラ ススィ ツ チでの各種遺伝子レベルでの機能を調 節 · 制御する、 別な未知の D N Aや R N Aのレベルに おけるスィ ツ チ機構が存在するのではないかと考え た。 更に、 ヒ 卜抗体遺伝子において、 新たな D H 遺伝 子フ ァ ミ リ ー、 新たな J H 遺伝子フ ァ ミ リ一または J H ーェンハンサー— S μ— C μ— C 5遣伝子配列の 中の特にイ ン 卜ロ ン部分の未同定 D N A塩基配列およ び C丫 3 以下の各遺伝子のすぐ上流部分の S遺伝子周 辺のィ ン トロン部分の D Ν Α塩基配列を詳細に検討す れば、 それら現象 · 事実を解き明かすメカニズムが浮 かび上る ものと想到した。
[0010] そして、 上記遺伝子および D N A塩基配列を鋭意決 していったと ころ、 染色体 1 4上にあるヒ 卜免疫グロ プリ ン H鎖遺伝子のェン八ンサ一と C μの上流のス ィ ツ チ配列 S μ の間に存在する ィ ン 卜 ロ ン部分の D Ν Α配列 ( σ μ ) のコ ピー (相同性を有する ; ∑ β 遺伝子と名づける) が胎児型染色体 1 4の別の領域、 即 ち C AIの下流で、 の上流部分に存在する (揷入さ れている) こと、 さらに各不変領域遺伝子の上流に位 ^する遺伝子 ( σ x ) と相同性を有する D Ν Α配列 ( ∑ X 遺伝子 と 名づける ) が、 上記 D N A配列 ( ∑ μ ) の近傍に集合して存在することを明らかにし た。
[0011] 本癸明者らはヒ 卜免疫グロブリ ン Η鎖遺伝子中のこ の意外な D Ν Α配列の複合体領域を∑ (シグマ) 領域 と名づけ、 ∑ χ および∑ を含む遺伝子複合体が、 免 疫グロプリ ン遺伝子のクラススィ ッチ機構を司る新た な遺伝子複合体であるこ とを、 同時に解析したマウス 免疫グロブリ ン Η鎖遺伝子と対比検討することによ り 示し、 該遺伝子複合体の遺伝子発現あるいは欠失に よってクラス特異的な免疫グロブリ ンを産生する産生 細胞を樹立し、 そしてクラス特異的免疫グロブリンを 産生する方法に必要な技術を確立した。
[0012] 更に、 本発明者らは、 イ ン トロンの中の生物学的に 意味のある領域に対する 2つの指標を設け、 ヒ 卜 とマ ウスの遺伝子塩基配列をつぶさ に比較検討した。 即 ち、 1っはヒ 卜 とマウスで遺伝的に同一な領域の相同 性、 言いかえれば進化の過程においてもヒ 卜ゲノ ムに 保存されているマウスゲノ ムと共通な塩基配列の存在 であり、 いま 1つは 卜ランスポゾンのよう に行動する 塩基配列であるこ とである。 この方法論を用い、 本発 明者らは、 上記∑領域とその周辺、 とその周辺及 び各不変領域遺伝子上流のク ラススイ ッチ領域 ( S x ) の更に上流の σ χ 及びその周辺の D N A配列の同定 と、 これら配列の機能の分析を行ない、 σ 、 σ χ 、 マ ウ ス 丫 2 t - r 2 aィ ン 卜 口 ン中の BamH I — Hindm断 片、 シグマガンマコ ア断片、 シグマデルタコ ア断片を 上記 2 つの指標を満たす断片と して特徴づけ、 更に I g Mと I g Gの組合せのよ う な 2種のイ ソタイ プを 同時に発現する B細胞における D N Aからの一次転写 物 ( R N A ) からの alternative R N Aスプライ シン ク ^ faoita, Y. , Y. Kumagai, K. Okumura and T. Hon jo.
[0013] 1982. ; Ex ression o f lymphocyte surface IgE does not require switch recombination. Nature
[0014] 297:697 - 699. ) のメ カ ニズム及びそれに 関与す る D N A配列の解明に必要な技術をよ り 明確と する に 至っ た。 その中で、 本発明者らは定常 (不変) 領域 C ァ遺伝子が V H - D H - J H 遺伝子の通常のプロ モータ一部位からの転写と は別々 に転写される不連続 転写およびそれに引続いて起こる 卜 ランス一 R N Aス プラ イ シングに よ る連結に関与し得る R N Aポ リ メ ラーゼ ΠΙによる転写のプロモータ一活性部位を C 丫遺 伝子の上流部分に同定した。
[0015] 更に、 ま た、 本発明者らはヒ 卜免疫グロブ リ ンに特 微的に IgD が比較的多く産生される理由と して σ μ と との間で起こる D N A リ アレンジメ ン 卜 がある こ とを明らかと した。
[0016] 本発明によ り、 抗体のサブクラス生産において従来 知られていたスィ ッ チ配列の他に、 σ μ 、 σ γ 3 、 σ r 1 σ Ύ 2 、 σ γ 4 などの特異な D Ν Α断片配列 がクローニングされ、 その相同な塩基配列が明らかに. された。
[0017] また、 σ mと相同性を有する∑ μ と σ y と相同性を 有する∑ 丫遺伝子が近接して、 〇 μ と C 5の間の領域 (∑領域) 内に存在することが明らかにされ、 そのク ラススィ ツチにおける機能が実証されつつある。
[0018] 本発明によ り明らかにされた事実をもとに、 それに 関する技術を利用し、 様々なタイプ、 種類の抗原に対 する抗体のサブクラスの生産を特異的に調節すること が可能となる。
[0019] すなわち、 特定の抗原に対するモノ クローナル抗体 を調製する際、 I g M型抗体より も I g G抗体が所望 される場合が多々あるが、 その際、 本発明によ り明ら かとされた抗体のサブクラス産生のメカニズムを原理 と して^用し、 I g G型抗体をもっぱら産生するよう な抗体産生系を調節することができることが期待され る。 それ故、 分化の進んだ抗体産生細胞を調製する方 法論が種々開発される。
[0020] ま た、 I g D を生産する細胞は、 従来 I g M と I g Dの double producer 細胞 (併行生産細胞) が主 である が、 I g Dのみを産生する細胞も知られてい る。 I g D生産株では、 s d c配列を含む σ ;u と ∑ をシグナルにして D N A再配列が起っている可能性が ある。
[0021] 本発明によ り得られた情報、 技術をも と に I g Dの みを産生する細胞の意義、 役割などが明 らかにされ る。
[0022] 一方、 本発明者によ り 同定された C 丫遺伝子の上流 に位置する s g c配列及び C — C 5 イ ン 卜 ロ ン中に ある s d c配列は、 マウス及びヒ 卜の両方に見い出さ れ、 その一次転写物 ( R N A ) は t R N A様の二次構 造を形成し得る。 これら s d c配列及び s g c配列と 相補的な一次転写物を形成し得る配列が J H - μ イ ン ト ロ ン及び C — C 5 イ ン ト ロン中に存在し、 これら 各配列は、 — S ( IgM と IgD)二重産生ま たは μ—丫 ( IgM と IgG)二重産生細胞における R N Aスプライ シ ングで重要な役割を果し得る ものである。
[0023] μ - y二重産生細胞は細胞の分化の過程でそれぞれ IgM あるいは IgG 産生細胞に変化してゆく 。 R N Aス プライ シングの過程で、 IgM に比較して IgG をコー ド する遺伝子を主と して形成させるよ う なメ カニズムを 働かせて IgG を選択的に産生する こ とができ る。
[0024] かく して本発明によ り 、 このよ う な IgG のみを産生 する分化の進んだ細胞をクローニングすることが動機 づけられ、 事実上、 より有用な IgG 抗体を特異的に産 生する細胞群を徹底的に探索すれば、 必ずやかかる細 胞群を調製することが実現できると期待し得る。
[0025] 他方、 免疫グロブリ ン遺伝子の σ y 3 及び σ y 4 中 の s g c配列上流に同定された in vitro で証明され た R N Aポリメラーゼ ΠΙプロモーター活性部位は、 実 際 in vivoで R N A トランススプライシングに先行し て作動するものと考えられる。 そして、 このプロモー ター活性、 更に s g c配列、 s d c配列などの関与に よる R N Aスプライ シングを利用することによって、 免疫グロブリ ンの生産のみならず、 遺伝子工学的手法 による各種タンパク質の生産時に生産されるタンパク 質の構成を所望に応じて変化させることができ、 多種 多様なタンパク質の生産が実現できる。
[0026] 即ち、 いくつかの独立プロモーターによって別々 に 転写された R N Aを、 効率的にトランススプライシン グさせるこ とができる s d cあるいは s g cの如き断 片を種々用いることによる、 新たな既存タンパク質の 製造法、 または新たなタンパク質変異体の製造は産業 上きわめて有用である。 図面の簡単な説明
[0027] 第 1 図 ( a ) 〜 ( c ) は、 免疫グロブリ ン H鎖定常 領域遺伝子部位および本発明において単離したクロ一 ン (太い線 ; ARAJH1、 クローン 1 , 2 , 3 , 6 ) の制 限酵素地図を示す図である。 この図において、 Tは制 限酵素 Hindffl切断部位、 ▽は制限酵素 EcoRI切断部 位、 i は制限酵素 BamHI切断部位をそれぞれ示す。 更 に ^は、 本発明でヌク レオチ ド配列を決定した部位を 不 o
[0028] 第 2 図は、 ∑ (シグマ) 領域に含まれる ∑ の D N A配列と、 J H — C 2 イ ン 卜 ロ ンの σ μの D N A 配列とで、 互いに相同な部分を示'した図である。 この 図において、 相同配列と非相同配列の境界は縦線で、 また相同領域中の両者で異なるヌク レオチ ドの位置を 黒丸で示す。
[0029] 第 3図はヒ 卜 σ μ領域のパ リ ン ドロ一ミ ッ ク性を示 す図であ り 、 矢印は J H — C イ ン ト ロ ン と C — C 5イ ン 卜ロンとの間に相同性を示す領域と示さない 領域の境を示し、 また右上方に示された配列は C μ — C Sイ ン ト ロ ンの上流端部を、 左上方に示された配列 は C μ — C δイ ン ト ロ ンの下流端部を示している。 な お、 枠で囲われた部分は s d cに相補性を示す部分で ある。
[0030] 第 4図は、 Σ μ と σ μ との作用による D N A リ アレ ンジメ ン 卜を示す模式図である。
[0031] 第 5図(Α) は、 Η鎖遺伝子の概略図、 第 5図(Β) は ^ ^
[0032] Σ μ と σ μ との作用による R N Aレベルでのスィ ツチ ングを説明するための模式図、 第 5 図 (C) は∑ x と σ r 3 との作用による R N Aレベルでのスィ ツチング を説明するための模式図である。
[0033] 第 6図は 、 σ r a 、 σ r 3 、 σ r 4 に関連す る リ ピート配列の位置を示す図である。
[0034] —第 7図は∑ x と σ "τ 3 との作用による D N Aレベル でのリ ア レンジメ ン トを示す模式図であり、 R丫 3 は リ ピート配列を示す。
[0035] 第 8図は、 以下の造血細胞ライ ンのサザン 八イブ リダィゼーシヨ ンの結果である。
[0036] レーン A : ヒ ト胎盤由'来胎児型細胞
[0037] レーン B : HLA60 細胞
[0038] レーン C : ARA10 細胞
[0039] レーン D : Jurkat系田胞
[0040] レーン E : Daudi 細胞
[0041] 第 9図(A1)〜 (C) は、 本発明で同定した、 σ 丫 3 を 含む EcoRI— HindHI断片及び σ 丫 4 を含む EcoRI— HindlE断片の一方の鎖りのヌクレオチ ド配列、 並びに 〇 μ— C Sイ ン ト ロン間の公知の配列を比較のために 並べた図であり、 第 9図(A1)はひ 丫 3 を含む EcoRI— Hindm断片の σ 丫 3 領域の 5 ' 側上流部を、 第 9図 (Α2)は σ 丫 4 を含む EcoRI - HindHI断片の σ 丫 4 領域 の 5 ' 側上流部を、 第 9 図 (Β) は σ γ 3 . σ r 4 , C — C S イ ン 卜ロ ンの配列を並べた図 (〇 μ — C S イ ン 卜ロンは 3 ' 側から逆向に配列されている) 、 第 9図(C) は、 σ γ 3 の下流部と σ γ 4 の下流部を並べ た図である。 これらの図において、 ヌク レオチ ドの異 なる部分が星印及びアンダーラインで示されている。 また、 「一」 が挿入されている所は、 対応するヌク レ ォチ ドがないこ とを示す。 更に、 縦線によ り相同配列 と非相同配列の境界が示され、 TATA様配列、 I g遺伝 子の発現に必要なォクタマ一様の配列及び s g c配列 を枠で囲ってある。
[0042] 第 10図(a) は、 ヒ ト及びマウスにおける C μ — C 5 ィ ン '卜口ン間に見い出された繰り返し配列の位置を示 す図であり、 第 10図(b) は、 ヒ 卜 Ο μ — C Sイ ン トロ ン間にある 63bp繰り返し配列 (∑領域中及び∑ M下流 ) 及びこれら配列と相同性を有する σ y 3 、 σ r 4 及 びマウス C μ — C S中にある配列の関係.を示す図であ る。 メ
[0043] 第 11図.(a) 及び(b) は、 t R N A及び s g c配列に 基づいて形成され得るクローバー葉構造をそれぞれ示 す図である。
[0044] 第 12図(a) は、 マウス C 丫 215— C丫 2aイ ン 卜ロンを 含む MEP12の制限酵素地図、 第 12図(b) は枠で囲った s g c配列を含む BamHI— Hindm断片のヌク レオチ ド 配列、 第 12図(c) は第 12図(b) s g c配列に基づいて 形成され得る t R N A様二次構造を示す図である。 第 13図 (a) はマウスの s d c配列からの二次構造 を、 第 13図(b) はヒ 卜 の s d c配列からの二次構造 を、 第 13図(c) はマウスにおける s d c配列と σ μか らの一次転写物におけるノィプリ ッ ド構造を、 第 13図 (d) はヒ 卜における s d c配列と σ μからの一次転写 物における八ィブリ ッ ド構造を、 第 13図(e) はマウス σ μを含む領域からの一次転写物の二次構造をそれぞ れ示す。 枠で囲われた部分はマウス s d c に相補的な 配列である。 - 第 14図(A) 及び(B) は V H D H J H から C丫遺伝子 に至る部分に対応する一次転写物における相補的領域 間で形成され得る八イ ブ リ ッ ド構造を示す図であ る。
[0045] 第 15図 (A) 及び(B) は σ 丫 3 をク ローニングした PSG3及び σ 丫 4 をクローニングした PSG4の構成を 示す図であり、 Eは EcoR I切断部位、 Bは BamH I切断 部位、 Hは Hindi!切断部位、 醺は s g c配列をそれぞ れ示す。 発明を実施するための最良の形態
[0046] 本発明の組換え体 D N Aは、 以下に詳述する各遺伝 子を含むものであり、 これら D N A断片の機能を種々 の用途に使用する際の原料と して、 また以上説明した 本発明者らによる新たな知見を確認するための、 ある いは免疫グロプリ ン生産調節機構の更なる解明のため に利用する試薬と して有用である。
[0047] 本発明の組換え体 D N Aの代表的具体例は、 後述の 実施例に示されている ク ロ一ン 1 、 2 、 3及び 6、 A R A J H 1 , pSG 3 , pSG 4 s σ r 1 遺伝子を含む クローン、 σ γ 2 遺伝子を含むクローン等である。
[0048] 本発明の組換え体 D Ν Αは、 例えばヒ 卜免疫グロブ リ ン重鎖遺伝子を適当な制限酵素で処理して断片化 し、 これを適当なベク ターに結合して、 D N Aライ ブ ラ リ ーを作製し、 その中か ら所望の遺伝子を含むク ローンを選択する方法によ り作製できる。
[0049] この D N Aライ ブラ リ ーの作製には、 クローニング に広く 用いられている各種のプラスミ ドゃフ フ ァージ からなるベク タ一を用いる こ とができる。
[0050] 以下、 ベク ターと して ; Iフ ァージ由来のベクタ一を 用いる場合について述べる。 - まず、 ヒ ト免疫グロブリ ン重鎖遺伝子を有する適当 な造血細胞の D N Aを常法によ り調製し、 これを適当 な制限酵素で処理 し、 得られた D N A断片を Charon 4 A ベク ター等の ; I一フ ァージ由来のベク ターに結合 させて、 D N Aフ ァージライ ブラ リ一を作製する。
[0051] これとは別に、 ヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖遺伝子を有 する適当な造血細胞の D N Aを常法によ り調製し、 こ の D N Aを制限酵素 HindlEで処理し、 得られた切断断 片混合物から、 重鎖 J H 遺伝子 (公知のヌク レオチ ド 配列を有する) を含む D N Aをプローブとして、 常法 に従つた八ィブリダィゼ一シヨ ンを利用したスク リー ニングで 3.8kb D N A断片を単離する。 この 3.8kb D N A断片を含むク ローン と して後述の実施例で ARAJH 1 が単離された。
[0052] 次に、 先に得た D N Aファージライブラ リーからこ の 3.8kb D N A断片とノヽイブリ ダィズする組換え体 を、 プラーク八イ ビリダィゼーシヨ ン等の方法によ り 選別する。
[0053] 選別された、 クローンが所望の遺伝子を含んでいる かどうかは、 その制限酵素地図を作製したり、 D N A 配列を分析することによ り確認できる。
[0054] なお、 上述の D N Aフ ァージライブラ リ一と して は、 例えばマニアチス ( Τ· Maniatis) のヒ 卜 D N A ファージライブラ リ一 (Lawn, R. M. , E. F. Fritsh, R. C. Parker, G. Blake and T. Maniatis, 1978*. The isola ion and c ara-cterizat i on of linked δ - and |3 - globul ingenes from a cloned library of human DNA. Cell 15 : 1157-1174 ) が利用できる。
[0055] なお、 ARAJH 1 によるスク リ ーニングには、 例え ば、 Benton - Davis法 ( Benton, W. D. and R.W. Davis. 1977. Screening λ g t recombinantc lones by hybridization to single laque in situ. Science 196:180- 182) などが利用できる。
[0056] なお、 λ — フ ァージ由来のベクターに所望の遺伝子 を組み込んで作製したクローンは、 適当な細菌を宿主 と して増殖させて、 種々 の用途に用いる こ と ができ る。
[0057] マニアチスの ヒ 卜 D N A フ ァ ージラ イ ブラ リ 一の よ う に 、 Charon 4 Aベク ター等の λ フ ァ ー ジべク ターを用いた場合は、 宿主と して、 supE+ の大腸菌 (Escherichia col i)、 例えば E . c o 1 i DP 50、 E. col i 803 [例えば、 K. urrary (University of Edinburgh ) 等から入手でき る ] 、 E. coli K- 12 X 1776 ( ATCC 31244)、 E. col i K 802 (ATCC33526)、 E. col i LE 392 (ATCC 33572)、 E. coli MM 29d (ATCC 33625) 、 E. coli MM21 (ATCC 33678)などが利用できる。
[0058] 以下、 上述の本発明の組換え体 D N A中にクロー二 ングされている各遺伝子について、 その主要機能ごと に分けて詳細に説明する。
[0059] なお、 これらの遺伝子の機能は本発明者らによ り新 たに見い出されたものである。
[0060] 1. D N A レベルでの リ ア レンジメ ン ト に関与する遺 伝子
[0061] 本発明でいう ∑ 遺伝子とは、 上述のよ う に免疫グ ^ g
[0062] 口ブリ ン H鎖遺伝子のェン八ンサーと C μ遺伝子上流 のスィ ツチ配列 S μの間に存在するイ ン ト ロ ン部分に 位置する 遺伝子 [第 2図 (下側列、 縦線間) ] と 相同性を有し、 かつ C δ遺伝子の上流部 (∑領域) に 見い出される第 2図 (上側列、 縦線間) に示す塩基配 列を有する D Ν Α配列からなる遺伝子である。
[0063] また、 ∑ X 遺伝子とは、 上述のよう に各不変領域遺 伝子上流のスィ ッチ配列 S x の更に上流にある σ x 遺 子 ( X ; y 3 、 丫 I 、 Ψ ε 、 <2 l 、 Τ 2 ^ 丫 4 、
[0064] &、 α 2 からなる群よ り選ばれた 1以上を示す) と相 同性を有し、 C 5遺伝子の上流部 (∑領域) に見い出 される這伝子である。 、なお、 σ ·/ 3 、 σ y 1 , σ 丫 2 及び σ "τ 4 のいずれとも相同性を有する∑ χ ( ∑ r 1 - Ύ 4 ) を以後∑ 丫 と表わす場合がある。
[0065] また、 本発明でいう ∑領域とは、 C 5遺伝子と C μ 遺伝子の間に見い出された∑ μ遺伝子と∑ χ 遺伝子の 複合領域を含む領域をいう。
[0066] これら遺伝子の Η鎖遺伝子 (胎児型染色体 14) での 位置関係を第 1 図に模式的に示す。
[0067] ∑領域に関連した遺伝子群、 すなわち σ μ遺伝子、 ∑ μ遺伝子、 ∑ χ 遺伝子及び σ χ 遺伝子 ( σ ·τ 3 、 σ 丫 ί、 σ ψ ε 、 σ α ι σ 丫 2 、 σ 丫 4 、 σ ε 、 σ α 2 からなる群よ り選ばれた 1以上) の機能は、 以 、 下のような点にある と考えられる。 σ μ 遺伝子は、 ェ ン Λ ンサ一下流に あ り 、 こ の D N A塩基配列をマウスのものと比べてみる と、 ∑領 域に相同性を有する配列を見い出すこ とができ、 この 点については従来よ り指摘のあったこ とであるが、 そ の意味については解明されていなかっ た。
[0068] 本発明者らは、 この σ μ遺伝子を含む領域を詳細に 調べる こ と によって、 そこ に高度な palindromic な構 造を見レヽ出 し た ( Rabbitts 6 ( 1984) Nucleic Acids Res. , ϋ, 6523-6534に報告された J H - C H 間のヌ ク レオチ ド配列参照) 。
[0069] palindromic な構造という のは一般に、 複製オ リ ジ ン とか、 卜 ラ ンスポゾンの末端 [¾士とかでしばしば見 られる ものである。
[0070] —方、 例えば、 不変領域遺伝子 ( C S を除く ) のス ィ ツ チングには、 いわゆるスィ ッチ配列と呼ばれてい る繰り返し配列が知られてお り 、 そこが必須である こ と も証明されている。 その上、 そのスイ ッ チング結合 部位は、 いわゆるスィ ッ チ配列のみに限らず広く 分布 している可能性があ り 、 本発明者らの特定した σ μお よび σ χ 遺伝子内にも及んでいる と考えられる。
[0071] C 5上流には、 いわゆるスィ ッチ配列と いう ものは 見い出されておらず、 本発明者らによって 遺伝子 と相同性を有する ∑ を含む∑領域がある こ とが新た に証明された。 ^ g
[0072] 以上の事項を総合すると、 B細胞の分化の過程で現 在知られているいわゆるスィ ツチ配列を介するクラス スィ ッチとは別に、 σ ^及び∑ μ遺伝子をシグナルと して例えば第 4図に示すような D N A リ アレンジメン 卜が D Ν Αレベルで起るクラススィ ツチが起り得る。 このこ とから、 従来説明のできなかったヒ ト IgD の出 現頻度がマウス IgD のそれより高い理由に対して、 こ のメカニズムで説明できることになる。
[0073] 一方、 ∑ r σ 丫 i 、 σ丫 2 、 σ丫 3 、 σ γ 4 に関 しては、 第 7図のような D N Aリアレンジメン トが見 い出された。
[0074] なお、 上記 D N A リ アレンジメン ト に関与する各遺 伝子は、 後述の実施例に示される方法によ り クロー二 ングできる。
[0075] なお、 ヒ 卜 における∑ μ領域と相同性を有する σ μ 領域やその隣接領域は、 第 3図に示すよう に高度のパ リ ン ドローム性を有しており、 このような特性はヒ 卜 及びマウスの系で保存されている こ とが判明してい る。 このこ とは、 該 σ μ領域及びその隣接領域が上述 の D N Aレベルでのリ アレンジメン 卜あるいは以下に 説明する R Ν Α レベルでのスプライシングに深く 関与 していることを示している。
[0076] 2. m R N Aでのスプライシングに関与する遺伝子 先に述べた∑ x と σ χ とが主に関与して第 5図 (B) に示すよ う な m R N Aレベルでの R N Aスプライ シン グが起り得る。
[0077] すなわち、 B細胞による免疫グロブリ ンの生産にお ける μ — δ併行生産 Β細胞 (double producer) につレヽ ては、 μ — 5併行生産 B細胞の存在が大部分であ り 、 Sのみを生産する Β細胞は少ないという よ う な現象ま たはヒ 卜細胞では 5のみを生産する細胞が比較的多い と いう よ う な現象が、 ェン Λンサー下流の σ μ遺伝子 の 442個の塩基よ り なる類似配列 (コ ピー配列 ; ∑ μ ) が C 5上流に存在する こ と と重要な関係がある可能 性が強いと考えられる (第 5図 (Β)) 。
[0078] .他方、 本発明者ら に よ っ て不変領域を コ ー ド する C χ 上流のスィ ッチ配列の更に上流に本発明者らによ り新たに見い出された σ χ 遺伝子もまた、 各 C x のス イ ツ チングに関与している可能性が強く 、 例えば μ — S併行 (二重) 生産 Β細胞以外に存在が想定されてい る μ— y併行 (二重) 生産 B細胞においても重要な働 きを有している と考え られる。 例えば、 μ — 丫併行 ( 二重) 生産 Β細胞 (変異株) において、 スィ ッ チ — スィ ッ チ丫結合 ( S μ— S 丫) 結合という D N Aァ レ ンジメ ン 卜 は起きていないこ とは推定されていたが、 本発明者 ら は、 D isgamraaglobu 1 inemia with hy er IgM 患者由来細胞を用いて、 C x によるスイ ッ チング の可能性、 そして S μ— S y結合の非存在を明らかに するこ とができた。
[0079] これは、 後述の実施例に示されているよう に∑領域 にある ∑ 遺伝子が、 第 9図(B) に示された σ 丫 3 遺 伝子及び σ 丫 4 遺伝子の有する D N A配列と逆向き の、 すなわち m R Ν Αレベルでは相補的.な D Ν Α配列 を有すること [第 5図 (A)] が本発明者らによって明 らかとされたことからも明白である。
[0080] このよう な m R N Aレベルでの相補性は、 その部分 で例えば第 5図 ( C ) に示すようなループ状に飛び出 した部分を有する m R N Aの 2次構造の形成の可能性 を示すものである。
[0081] この m R N Aの 2次構造におけるループ状に飛び出 した部分がスプライ シングされ、 スキップされる と V D J - μ - r 3 が形成される。 また、 C 丫 3 の代り に C丫 t 、 C r 2 または C丫 4 に対応する m R N Aが 繫がれば、 V D J — μ— γ ι 、 V D J - μ - r 2 また は V D J - μ—丫 4 となり、 もとの m R N Aから最終 的に蛋白質に翻訳された場合に、 多様な蛋白質が形成 されてく ること となる。
[0082] 更に、 これらの現象が各 C x 遺伝子の 1 つ、 または その 2以上の組合せにおいて行なわれると、 更に多様 な 一 Ύ ( Ψ ε、 s、 a ) の組合せが可能となり、 こ れらのスプライ シング機構が作動している B細胞の存 在の可能性が考え られる。
[0083] ま た、 第 6図に例示される よ う に各 σ 丫 4 、 σ r 3 遺伝子の下流で S y 4 、 S r 3 の上流には、 と もに 21 D N A塩基対の リ ピー 卜 が存在する こ とが本発明者ら によって明らかと された。 詳し く は、 第 9図 (C) に示 された σ 丫 3 遺伝子下流では 3回、 σ y 4 遺伝子下流 では 1.2回の リ ピー トが見い出された (なお、 リ ピー ト の単位の塩基配列については多少異なる) 。 これらの リ ピー 卜領域もまた上述のよ う なスィ ツチングに関与 し得る。 .
[0084] 以下に、 詳細に上記の事実を述べる と、 m R N A レ . ベルでのスプライ シングに関与し得る D N A断片と し て、 シク、、マデゾレタ コ ア ( sigma delta core) 酉己歹 lj (以 後、 s d c 配列 と レヽ う ) 及びシグマガ ン マ コ ア ( sigma gamma core) 酉己歹 lj (以後 s g c酉己歹 ljと レヽう ) 挙げる こ とができ る。
[0085] s g c配列は、 第 10図 (a) に示すヒ 卜 における C 一 C S イ ン ト ロ ン間に離れて繰り返された、 すなわち ∑ x (∑ r ) 中 ( 4677から 4739の部分) および Σ μ下 流にある繰り返し 63bp配列 ( 6900から 6962に存在) 及 び該 63bpと相同性を有し、 σ γ 3 及び σ 丫 4 中に見い 出される配列 [第 9図 (Β) で四角で囲われている部分 ] である。
[0086] なお、 こ の 63bpと 75%の相同性を有する s g c配列 と しての配列がマウスの〇 μ — C 5イン 卜ロン中及び 遺伝子の上流領域 ( C y 2b— C " 2 aイ ン トロン) 中にも見い出される [第 10図(b) 及び第 12図(b) 参照 :] 。 このことは、 s g c配列が免疫グロブリ ン重鎖定 常領域 C H 遺伝子の発現または構築に深く関与してい る可能性を高めている。
[0087] この s g c配列は t R N A (転写 R N A ) と同様 の大きさを有し、 該 s g c配列と対応する R N Aが 例えば第 11図(b) に示すよ う に t R N A様二次構造 を形成する。 この二次構造は、 第 11図 (a) に示す葉 緑体チロシル t R N Aの塩基配列 ( Sprinzl, M., T. Vorderwu lbecke and T. Hartmann.1985;Com ilation of sequences of tRNA genes. Nuc. Ac ids Res. 13: suppl. r51-rl04参照) の一次配列および二次構造と 非常によく似ているものである。
[0088] 一方、 s d c配列は、 マウス μ— δイ ン トロン間に 見い出される 76塩基対の繰り返し配列 (2845〜2920及 び 3663〜3737間にあるもので 2個のヌクレオチドが異 なる) 及び該配列と類似性を有するヒ ト — C Sィ ン ト ロ ン間に見い出される 81塩基対の配列 ( 5483~ 5563) 〔第 10図(a) 及び第 13図(b) 参照〕 である。 こ れらの (ヒ 卜 とマウスにおける) 配列の類似性はそれ ほど高度ではないが、 これらの配列からの一次転写物 の二次構造は相互によく類似している。 例えば、 これ らの配列の一次転写物は第 13図(a) 及び(b) に示すよ う に t R N A様構造 (ステム · ループ構造を含む) を 取り得る。
[0089] この s d c配列と相補的な配列が、 J H — μイ ン 卜 ロン中の σ μ領域中に存在する 〔第 13図(C) 及び(d) 参照〕 。 この相補的な配列は上記 t R N A様構造のァ ンチコ ドンループに位置しており、 また σ μ領域のこ の相補性の相手は、 第 3図及び第 13図(e) に示すよう にステム ♦ ループ構造中に位置する。
[0090] 以上の s g c及び s d c配列は以下に述べる機能を 有し得る ものである。
[0091] すなわち、 例'えば第 14図に示すよう に V H - D H - J H から丫遺伝子に至る長い一次転写物の中で s g c 及び s d c配列に対応する一次転写物 ( R N A ) 部位 において、 これら配列由来の t R N A様構造と該構造 に相補的な構造との間で二次八イブリ ッ ド構造を取り 得る。
[0092] つま り J H — C μイ ン 卜 ロ ン中に s d c配列に相補 的な、 また C μ — C Sイ ン 卜 ロン中に s g c配列に相 補的な D N A断片が存在することによ り、 第 14図 ( A ) 及び ( B ) に示すよう な少なく とも 2つの型の二次 八イブリ V ド構造を取ることが可能となる。 また、 こ れら二次 Λイブリ ツ ド構造に t R N A様構造が存在す る こ と は、 R N Aスプライ シングにアミ ノ アシル合成 酵素様のタンパク質が関与することを示している。 こ のよう な R Ν Αスプライ シング機構には、 σ 領域に 存在する先に述べた高度に折りたたみ込まれた構造が 関係している と考えられる。
[0093] μ と δの併行生産 (double producing) 細胞では、 σ μ と Ο μ— C Sイ ン トロン中の相補的な配列の存在 により、 μをコードするェクソンが飛ばされ、 V H — D H 一 J H ェクソンと δ をコードするェクソンとが直 接結合することが可能である。 alternative R N Aス プライシングが μ と δの両方の同時発現にかかわって いる と考えられる。
[0094] μ と丫 C 併行生産細胞では、 σ μと〇 μ— イ ン ト ロ ン中の相補的な配列及び C ju— C Sイ ン ト ロ ン と C丫上流の中の相補的な配列の存在により、 上記のよ う に 2次八ィブリ ッ ド構造が取り う ることになり、 丫 発現の R N Aスプライシングが容易となる。
[0095] これらのメ カニズムを利用 して、 IgM よ り も IgG リ チ ( rich) な抗体生産を行なう こ と も可能とな る。
[0096] 更に、 以上述べた t R N A様構造を形成し得る s d c配列及び s g c配列を遺伝子工学的手法を用い た他のタンパク質の生産に利用して、 R N Aレベルで のスプライ シングを起させて、 免疫グロブリ ン以外の 種々のタンパク質を生産することが可能となる。 3. R N Aポ リ メ ラ一ゼ ΠΙによる in vitro^写に対し てプロモーター活性を有する遺伝子
[0097] C r 3 、 C r i 、 C r 2 及び C y 4 の 6 kb上流の σ r 3 、 σ y i 、 σ r 2 及び σ Ύ 4 中に本発明者らに よ り 前記 s g c配列の 300bp 上流に TATAATからなる TATA様配列及び該 TATA様配列の更に 63bp上流にォク 夕マー様の配列 ( I g遺伝子の発現に必要と される TTTTGCAT) が存在している こ とが見い出された。
[0098] これらの領域の存在は、 σ 丫 3 、 σ γ 1 、 σ r 2 及 び σ "τ 4 領域内にプロモーター活性を有する領域の存 在を示してお り 、 実際に後述の実施例に示される よ う に σ 丫 3 ま たは σ 丫 4 を含む D Ν Α断片を pUC9べク ターに結合させて、 R N Aポ リ メ ラーゼによ り転写物 を合成させたと ころ ( α ^アマ二チンに対する感受性 から、 R Ν Α リ メ ラーゼ I及び IIではなく 、 R N A ポ リ メ ラ一ゼ mが関与する こ とが示された) 、 3個の 主要な転写物が検出され、 PUC9ベクター中にプロモー タ ー活性が一つ存在す る こ と か ら 、 σ 丫 3 ま たは σ r 4 を含む D N A断片中に少な く と も 2つのプロ モータ一活性を有する D N A領域が存在している こ と が確認された。
[0099] これらプロモーター活性を有する D N A領域の 1 つ 。 Λ
[0100] -26 - は、 s g c配列の 230bp上流に位置し、 σ 丫 3 及び σ r 4 に共通であり、 他の 1つは 3 の 60bp上流及 び σ 丫 4 の 400bp上流に存在する もの と特定され た。
[0101] これらのプロモーター活性を有する D N A領域は、 2種の異なるイソタイプの同時発現における先に説明 した R N Aスプライシングに先立つ不連続転写の可能 性を示している。
[0102] 従って、 これらのプロモーター活性を有する D N A 領域を利用して遺伝子工学的手法によ-る所望に応じた クラスの免疫グロブリ ンあるいは各種タンパク質の生 産が可能となる。
[0103] 以上述べた各 D N A断片の発見の基礎となつた∑領 域の創成は、 上述したよう な R N Aスプライシング機 構と深い関連を有するものと考えられる。
[0104] すなわち、 R N Aスプライ シングにおけるイ ン トロ ン除去反応は化学的には可逆的であり、 除去されたィ ン ト ロ ンは時々 ト ラ ンスポゾンのよう に行動する こ と が可能である との Sullivanらによる報告 ( Sullivan, F. X. and T. R. Ceck. 1985; Revers ib i l ity of eye 1 izat ion of the Tetrahymena rRNA intervening sequence: Implication for the mechanism of s lice s itec o ice. Cel l 42 :639 - 6 8 ) があ り 、 ま た、 R N Aスプライ シ ングによ り 除去された R N Aが R N Aスプライ シングの逆反応によ り別の R N Aの中 に挿入され、 逆転写酵素によ り D N Aに転換され、 最 終的 に ゲノ ム 中 に挿入さ れる と い う 報告があ る ( Sharp, P. A. 1985; On the origin of RNA splicing and introns. Cel 1 397- 400参照) 0
[0105] これらの報告にある機構が、 例えば∑、 σ μ 、 σ γ 等の免疫グロプリ ン遺伝子中での異なる位置に存在す る相同配列の形成に深く 関与していた もの と考え得 る。 すなわち、 σ μ 、 σ 丫 、 s d c配列及び s g c配 列等は ト ラ ンスポゾンのよ う な特性を有する ものと想 定できる。
[0106] 以上のよ う に、 本発明の方法によってクローニング でき る ∑領域および該領域に関連する遺伝子群は、 ク、 ラス特異的な抗体の産生機構において、 特に免疫グロ プリ ンの H鎖でのク ラスのスィ ツチにおいて重要な役 割を有する可能性が極めて高い。
[0107] 以下、 種々 の造血細胞や B細胞ライ ン由来の遺伝子 の∑領域および該領域に関連する遺伝子群について実 施例に基づき詳細に説明するが、 種々の造血細胞や B 細胞ライ ン 自体およびそれからの各遺伝子のクロー二 ング方法はこれに限定される ものではない。
[0108] 〔実施例〕
[0109] 実施例 1
[0110] ( ∑ μの同定) .。
[0111] -28- 種々 の B細胞ライ ン ( ヒ ト胎盤由来胎児型細胞 ; Manca ; SKL 7 ; Lyl8 ; NALM 6 ; Lyl6 ; Daudi ; ARA10 ) から常法に従い D N Aを調製し、 HindHIで処 理して、 Hindin消化物を調製した。
[0112] 次に、 常法に従い調製した第 1 図に模式的に示した J H 遺伝子を含む J H プローブを用いて各 HindlE消化 物をそれぞれ、 続生化学実験講座 1、 遺伝子研究法 II (日本生化学会編、 東京化学同人、 P 222 〜223 ) に 記載の方法に従ったサザ一ン ハイブリダイゼ一ショ ン ( Southernhybridization ) 法により分析した。
[0113] なお、 D N Aを移したニ ト ロ セルロース膜は X線 フ ィ ルムに曝らし、 12時間後および 3 曰後にそれぞれ 検定を行なつた。
[0114] その結果、 12時間後では、 ARA10 D N Aでは比較的 薄いが明らかに再構成したことを示すと思われるバン ドが、 3.8kb に検出された。 また、 Daudi 細胞におい ても同様に 3. &kb にバン ドが検出された。
[0115] 次に、 ARA10 細胞か らの 3.8kbノ ン ド を与え る D N A断片を、 常法に従って ; I フ ァージベクタ一 ( Charon 4A ベク ター) 中にク ローン化し、 これを ARAJH1と命名した。
[0116] なお、 このクローン ARAJH1の単離は、 Sakanoら ( Sakano, H. , J. H. Rogers, K. Huppi, C. Branck, A. Traunecker, R. Maki , R. Wa 11 and S, Tonegawa. , 1979b. Domains and the hinge region of an irarauno- lobulin heavy chain are encoded in separate DNA segments. Nature 277 :627 -633 ) の方法に従つ た。
[0117] なお、 このクローン ARAJH1に含まれる 3.8kbD N A 断片は、 後述のクローン 6 にも含まれてお り、 クロー ン 6の制限酵素 Hindffl処理による方法によっても得る こ とができる。
[0118] ARAJH1の有する 3.8kb D N A断片の D N A配列は、 - 公知の D N A断片を有する 〇 μ — C 5イン 卜ロン間の ∑領域を含む 2つの HindlE切断部位間 (第 1 図参照) のものである。
[0119] 更に得られた、 ARAJH1 ( 3.8kb を含む) をプローブ と して、 数種の造血細胞ライ ン ( ヒ 卜胎盤由来胎児 型細胞 ; HL60 ; ARA10 : Jurkat ; Daudi ) D N A © Hindm消化物のサザーン ノ、イ ブ リ ダィ ゼ一シ ヨ ン を上記と同様にして行なった。 なお、 バン ド の大きさ は、 λ—マ一カーによ り評価した。
[0120] その結果、 胎児型 D N Aを含めて、 調べたすべての D Ν Αに、 胎児型にあった 3.8kbのバン ドに加えて少 なく と も 3つのバン ドが 10、 8 、 4.5kb に存在してい る こ とが確認された。
[0121] 3.8kb D N A断片は、 胎児型. D N Aの中にも検出さ れたので、 ARA10 細胞の J H 領域が胎児型からの分化 に伴って再構成されてできたという ことはあり えない ことが判明した。
[0122] この 3.8kbのバン ドが ARA10 と Daudi細胞の D N A の中にしか J H プローブで検出できない原因には二卜 ロセルロース膜のハイブリダイゼ一ション効率が位置 によって異なつていたことも考えられた。
[0123] と ころが、 ニ ト ロセルロース膜上で X線フ ィルムを 3 日間露出後には、 すべての細胞の D N Aに全く同じ 3.8kb のバン ドが検出された。
[0124] 次に、 AJH1プローブで検出された D N A断片のな かで、 このもともと胎児型の D N Aにある 3.8kb 断片 と、 他のバン ドとの関係を明らかにする目的で、 この をプローブと して使い、 先に述べたハーバード 大学のマニアチス (T.Maniatis) のヒ ト D N Aフ ァー ジライブラ リー (ベクタ一と してパクテリオファージ λベクター、 Charon 4A を用いたもの) をスク リ一二 ングし、 常法によ り ARAJH1とハイ ブリ ダィズするク ローンを得た。
[0125] なお、 該スク リーニングは、 前述の Benton- Davis 法に従つた以下の操作により行なわれた。
[0126] まず、 マニアチスのヒ 卜 D N Aフ ァージライブラ リ ーを感染させた E. coli (先に例示した 旦. coli DP 50, 803 、 ATCC 33526、 ATCC 33572等が利用できる ) を、 ペ ト リ皿中の L一ソフ トァガ一プレ一 卜に分散 させ、 少なく とも 3 Cで 12時間培養した。
[0127] なお、 L一ソフ トァガープレートの組成は以下のと お り であ り 、 下記組成の L 一プレー ト 上に 層され た。
[0128] L一プレー 卜
[0129] ノ ク 卜 卜 リ プ ト ン . 1 g
[0130] ノ^;ク ト イース トエキス ト ラ ク 卜 0.5g
[0131] NaCl 0.5g
[0132] 寒天 1.25g
[0133] 水 100ml
[0134] ( H 7.5、 NaOHで調整)
[0135] L ーソフ ト ァガープレー ト組成 :
[0136] L一プレー 卜 の寒天濃度を 7 %と したもの 上記プレー ト培養終了後、 L一ソフ ト ァガ一プレー 卜上に乾燥したニ ト ロセルロースフ ィ ルター ( 88mm、 ミ リ ポア H Aま たは Schleicher and Schuel 1 B A 85) を、 プレー 卜 と フ ィ ルターの間に空気が混入しな いよ う に載置し た。 1 〜 20秒間こ の状態を保っ てか ら、 フ ィ ルタ一をプレー 卜から剝離して、 フ ィ ルター にプレー ト に生成したプラークを、 その位置を変更す る こ となく 転写した。
[0137] この転写操作に際し、 フ ィ ルターとペ ト リ皿にマー クを付け、 後の操作においてフ ィ ルタ一に転写された プラーク とプレー 卜 のプラークの位置関係が容易に解 る よ う に した。 次に、 剝離したフィルターを、 0.1 NaOH及び 1.5 M NaCl溶液に 20秒間浸漬し、 フ ァージを不活性化さ せ、 更に 0. 2 M 卜 リ ス溶液 ( p H 7. 5) 及び 2 X S S C P [ 1 X S S C P ( saline citrate phosphate buffer) : 120mM NaCl、 15mMクェン酸ナト リ ウム、 13 mM KH2P04 、 ImM EDTA, pH 7.2 (NaOH で調整) ] に
[0138] 20秒間浸漬してフィルターを中和した。
[0139] 更に、 フィルターを 80 Cで、 1.5 〜2 時間、 真空条 件下で加熱処理した。
[0140] 次に、 この加熱処理したフィルターを、 常法により
[0141] 32 p でラベルした ARAJH 1プローブを含む 5 X S S C P 及び 50%ホルムアミ ドを含む溶液中に 42°Cで 30秒間浸 漬した。
[0142] なおプローブの濃度は、 1 フィルタ一あたり 10s 〜 I 06 c. p. m. (counts per minutesj と なる よ う にし た。
[0143] 次にフ ィルターを 2 X S S C Pに室温で 20〜30分間 浸漬した後、 樹脂製のラ ッ ピングフィルムでこれを多 い、 市販の X線フ ィ ルムに重ね合せて、 24〜48時間放 置し、 該フ ィ ルムの感光した部分に相当する、 すなわ ち プローブと Λイブリダィズするプラークをプ レート中に同定した。
[0144] 更に、 ARAJH1プローブとハイブリダイズするブラー クを常法によ り単離し、 クローンと した。 該スク リ ーニングによ り得られたクロ一ンのう ちの 4種類に組込まれたヒ 卜 D N A由来の断片の制限酵素 地図を検討したと こ ろ第 1 図に示すよ う になつ た。
[0145] 前記 3.8kb そのものを含むクローンはク ローン 6 と 命名 し、 J H 遺伝子を含むクローンはクローン 3 と命 名 した。
[0146] 他の 2 つのクローン 1 と 2 はこれら とは異なってお り 、 クローン 1 および 2 で ARAJH1プロ一ブと相同な領 域についてサザーン 八イ ブリ ダィゼーシ ヨ ンで制限 酵素地図を作っ たと こ ろ、 第 1 図 (b、 c)で示すよ う な 結果を得た。
[0147] この結果から、 クローン 1 および 2 は ARAJH1プロ一 ブで検出されるそれぞれ 10および 4.5kbの Hindm断片 を含んでいる こ とが示めされた。
[0148] なお、 J H 領域を含む Hindm断片の大きさ もやは り 10kbである。
[0149] これら ク ローンは、 NC 1MB (National Collection of Industrial and Marine Bacteria: P 0 Box 31, 135 Abbey Road, Aberdeen AB9 8DG, Scotland, UK ) にブタペス ト条約に基づいて寄託されてお り 、 その寄 託曰及び寄託番号は以下のとお り である。
[0150] クローン 1 : 寄託日 : 昭和 63年( 1988) 10月 6曰
[0151] 寄託番号:4D060
[0152] クローン 2 ; 寄託日 : 昭和 63年( 1988) 10月 6日 3 ^
[0153] 寄託番号: 4(3061
[0154] クローン 3 ; 寄託日: 昭和 63年(1988) 10月 13日
[0155] 寄託番号: 40063
[0156] クローン 6 ; 寄託日: 昭和 63年(1988) 10月 13日
[0157] 寄託番号:40064
[0158] なお、 第 1 図における .C r 3 の上流領域の制限酵素 地図は、 Flanaganと Rabbittsにより公表されているも のである [Natu-re, , 709〜713 (1982) ] 。
[0159] また、 図中 Tで示された部位は HindlE切断部位を、 ▽で示された部位は EcoRI切断部位を、 i で示された 部位は BamHI切断部位をそれぞれ示す。 次に得られ たクローン 6の D N A塩碁配列を、 マクサムギルバー 卜法 [(Methods Enzymol. , 65, 499 〜560 (1980)]、 およ び Bluescript Ml 3 ベク ター ( 13m 18, 13mpl9: STRATAGEM) を使用 した S ange rらの方法 [ Proc. Natl. Acad. Sci. , USA, 74, 5463 〜 5467 (1977) ] に よる chain termination 法 (酵素法) の 2種の方法に よ り決定した。
[0160] 得られた D N A塩基配列を、 Rabbittsらによ り配列 決定された J H 遺伝子の下流領域の J H — C μイン 卜 ロンの配列 [ Rabbittsら (1984) Nucleic Acids Res. , 12, 6523-6534 ] と比較検討したところ、 クローン 6 の後部にある 442個の塩基配列 (第 2図の上側の列) と、 J Η — C イ ン ト ロンの頭部 ( H鎖におけるェン ノンサ一の下流部に相当) にある 442個の塩基配列 ( 第 2 図の下側の列) と に 97 %の一致が見られた。 な お、 両者で異なる ヌ ク レオチ ド は黒丸で示されてい る。 また、 クローン 6 の後部にある 442個の塩基配列 は、 Rabbittsらによ り報告された配列の 6387〜6828番 目の塩基対部分に相当するが、 塩基配列は全く 同一の ものではない。
[0161] こ こ で確認された相同性を有する部分をそれぞれ σ μ (ェンノンサ一の下流部) および Σ μ (クローン 6 に含まれ、 C σの上流の本発明でいう ∑領域中に存 在する もの) と した。
[0162] 以上の結果から、 J H — C イ ン 卜 ロンにある σ μ ( 442 塩基対) の copy配列 (類似配列 : Σ μ ) が染色 体上の他の位置に存在している こ と が明 らかと なつ た。
[0163] 実施例 2
[0164] ( ∑ 丫 ) 、 σ 丫 3 および σ γ 4 の同定] 実施例 1 で得た ARAJH1 ( 3.8kb ) は、 ま た別の染色 体部位 ( σ χ ) に由来する D N A断片を含んでいる と 予想された。
[0165] そこで、 実施例 1 で∑ μが含まれる と特定された領 域をシグマ ( ∑ ) 領域と呼ぶこ と に し、 この領域が σ χ に由来する D N A配列も含んでいる こ と を以下の 様に して確認した。 „„
[0166] -36 - まず、 ARAJH1プローブで検出された断片の染色体上 での位置を同定する 目的で、 選択的にヒ ト染色体が 減っている表 1 に示す多種類のマウスーヒ 卜体細胞ハ イ ブリ ツ ドからの D N Aを、 前述'の方法に従つてサ ザーン ブロッ トを行った。
[0167] マウス ー ヒ 卜休細胞問の雑種細胞に存在する ヒ ト染色体
[0168] Hybrid Human Chromosomoe
[0169] Clone 5 6 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
[0170] 1-4 + + + + + + + + + + + + + 1-5 + + + + + + + + + + +
[0171] 1- 6 + + + + + + + + + + + +
[0172] 2- 2 + + + + + + + + +
[0173] 3- 2 + + + + +
[0174] 3-4 + + + + + + 7-1 + + + + + + + +
[0175] 1B1-24 + + + + +
[0176] 3A6 + + + + + + + + + +
[0177] 3B5 + + + + + + + +
[0178] 7-1A2 + + + + + + + + +
[0179] 7-1D2 + + + + +
[0180] A/B7-5 + + + + + + +
[0181] その結果、 実施例 1 において ARAJH1プローブに陽性 な 3.8kb以外の少なく とも 3本のバン ドに対応するバ ン ドが全て検出され、 それらはすべて染色体 14にある と同定された。
[0182] 次に、 実施例 1 で得たクローン 1 およびクローン 2 の制限酵素地図を、 Nature,^, 709 〜713 (1982)に 公表ざれている制限酵素地図の定常領域の部分と比較 し た と こ ろ 、 ク ローン 1 と 2 はそれぞれ C y 4 と C Ύ 3 遺伝子の上流領域とほぼ一致するという こ とが 明らかとなった。
[0183] 更に、 クローン 1 の制限酵素 EcoRI、 Hindu.、 BaraH I での各消化物を調製し、 各消化物における D N A断 片の大きさを比較した。
[0184] なお、 この断片の比較は、 各消化物混合物を 0.8 % ァガロース電気泳動と、 ェチジゥム ブロマイ ドによ る染色を常法に従って行う こ とによ り実施された。
[0185] 更に、 各消化物の ARAJH1プローブを使つたサザーン ノイブリ ダィゼーシ ョ ンを上記の方法に従って行 なった。
[0186] その結果、 クローン 1 は第 1 図 ( c ) で示される領 域をカバ一していることが明確に示された。
[0187] なお、 クローン 2 の制限酵素地図は EcoRIの 1部位 を除けば、 Nature, 3_00, 709— 713 ( 1982) に記載の c r 3 遺伝子の上流領域の地図と同一であった。 従つ て、 クローン 2 は C Y 3 遺伝子の上流領域をカバー し ている可能性が高いと考え られた。 更に、 実施例 1 で 得た ARAJH1プ口一ブにハイ ブリ ダィズする Hindffl断片 ( 8 kb) の染色体上の位置を調べるために、 該 8 kb断 片の EcoRIおよび BamHI 消化物の AR A JH 1プローブを 使つ た前述の方法に したがつ たサザーン ハイ ブリ ダ ィ ゼイ シ ヨ ンを行なっ たと こ ろ、 未同定の 8 kbバン ド は〇 γ ι 遺伝子の上流に存在する こ とが示された。 ま た、 更に、 3.8kb バン ドの 1 つに対応する D N A断片 は C 丫 2 の上流に位置する こ とが示された。
[0188] 次に、 シグマ (∑ ) 領域の境界を同定する ため第 1 図 ) に示す 3つのプローブ 1、 2、 3 を第 1 図 (a) に示すよ う な制限酵素による クローン 6の消化断片よ り調製した。
[0189] 次に、 プローブ 1 と 3 を使用し、 前述の方法に従つ たクローン ·1 、 クローン 2 および genomicD N Aのサ ザーン ノイブリ ダィゼ一シ ヨ ンを行なっ たと こ ろ、 これら断片自身.しか検出されなかっ た。
[0190] それ故、 mosaic structure (∑領域のはめ込まれた 領域) は AR A JH 1によ り カバーされる領域とその右側の 300ヌ ク レオチ ドの Hi ndm— H indlH断片の部分に限定 される こ とが判明した。
[0191] 以上の結果から、 プローブ 2 [ σ μ と相同性を有す る ∑ μ ( 442 塩基対) を含む ] によ り カバ一される領 ^ Q
[0192] 域は ARAJH1のプローブ 2以外の他の残りの部分ゃク ローン 1 、 クローン 2 とも相同でないことが判明した ので、 ARAJH1にはクローン 1 および 2 と相同の D N A 領域が存在するはずである との結論が導かれた。
[0193] そこで、 不変領域遺伝子のそれぞれの丫遺伝子の上 流におそらく存在する と思われる D N A配列が∑領域 の同じ D N A配列によ り検出されるこ とを調べる目的 でプローブ 4を第 1 図(c) に示すような制限酵素によ るクローン 1 の消化断片よ り調製し [第 1 図 (c) ] 、 更に該プローブ 4を用 、て、 ヒ 卜胎盤 D N Aを常法に 従って HindlEで消化して得た D N A断片のサザ一ン ノイブリダィゼーシ ヨ ンを行なった。
[0194] その結果、 実施例で ARAJH1をプローブと して検出し たバン ド (10Kb, 8 kb, 4.5kb, 3.8kb) は全てこのプ ローブ 4 ( ARAJH1 3.8の一部) で検出された。
[0195] それ故、 実施例 1 で得られた ARAJH1 (3.8kb)は 2つ の断片 (プローブ 4 とノイブリ ダィズする部分とプ ローブ 2 と八イブリダィズする部分) から構成されて いるこ とが確認された。
[0196] 次に、 クローン 6をプローブ 2で上述の方法に従つ てサザ一ン ハイ ブ リ ダィゼーシヨ ン した。 その結 果、 クローン 6の 5 ' 端末領域もまたプローブ 2 に陽 性であり、 クローン 6が C μ— C 5遺伝子部位に由来 するこ とが見い出された。 クローン 6の制限酵素地図を常法によ り作成したと こ ろ、 Hindm部位の 1 部位を除いて C μ — C <5遺伝子 部位の Nucleic Acids Res. , 12, 6523 〜 6534 (1984)に 記載のデ一夕と同一であった。
[0197] クローン 6、 クローン CH4-38とクローン CH4-51の制 限酵素消化 D N Aを、 先にクローン 1 と 5 Αの比較に おいて用いた方法と同様にしてァガロース電気泳動と ェチジゥムブ口マイ ドによる染色を利用した方法と、 ARAJH1プローブによる上述の方法に従ったサザーン ハイブリダィゼーシヨ ン法で分析し、 これらを比較し た。
[0198] 更に、 C 丫 3 上流の δ 丫 3 および C 丫 4 上流の δ γ 4 を含む部分 ( EcoRI— Hindm 2.、5kbD N A断片 ) の D N A塩基配列のそれぞれを、 前述のマクサム ギルバート法、 およ.び M13mpl8、 M13mpl9 を使用した Sangerらの方法によって決定した。
[0199] 得られた結果を第 9図(Al)〜(C) に示す。 得られた 第 9図の結果から、 ∑領域は第 1 図(a) で示したよう に C μ と C δ遺伝子の間に位置しており、 これは、 ェ ン Λンサ一下流の σ μ と相同性を有する D N A断片 と、 σ Τ 3 、 σ γ 4 遺伝子と相同性を有する D N A断 片 (∑ x ; 先に挙げた Rabbittsらの報告におけるヌク レオチ ド配列の第 4280番〜第 5234番に相当する) との 複合体を含むものである。 更に、 σ丫 3 , σ r 4 遺伝子と、 これと相同性を有 する∑ x 遺伝子との関係において以下のよう な特徴が 見い出された。
[0200] ① σ丫 3 、 σ.丫 4 遺伝子の間で相同性がなく なる境 界 と 、 ∑領域に相同性がある領域の境界と は σ r 3 、 σ r 4 とで一致している。
[0201] ② σ 丫 3 と S y 3 の間に 21塩基対の 3回のリ ピート が見られ、 また σ "T 4 と S 丫 4 の間に 21塩基対の 12回のリ ピー トが見られるが、 これら リ ピートの 単位の配列は多少異なる。
[0202] ③これらのリ ピー 卜配列の下流は同一配列を有して それぞれスィ チ配列 ( S y 3 、 S r 4 ) に接続 している。
[0203] ④ひ 丫 3 および σ 丫 4 と、 ∑領域にあるこれらと相 同性を有する部位では、 1.2kb の極性が逆さに なっている。 - 本発明者らは、 更に免疫グロブリン定常領域遺伝子 の σ γ 3 と σ γ 4 遺伝子の間にある σ γ と σ 丫 2 に ついても検討した。
[0204] すなわち、 ( 丫 丄 の S "T i の上流に、 また C 丫 2 の S γ 2 の上流に、 σ 丫 3 と σ 丫4 遺伝子と同様に機能 を持つ σ γ ι 及び σ ·τ 2 の存在を特定し、 これらを上 述の σ γ 3 及びひ 丫 4 遺伝子の場合と同様にしてク ローニングしてび 丫 3 を含むクロー及びひ 丫 4 を含む クローンをそれぞれ得た。
[0205] 更に、 これら ク ローン中に組込まれた σ y i 及び σ r 2 の塩基配列 ( D N A配列) を検討したと こ ろ、 これらはいずれも σ y 3 及び σ 丫 4 と相同性を有し、 σ r 3 及び σ ·τ4 の場合と 同様にそれぞれ S r i 及び S r 2 との間に 21塩基対リ ピー ト を有していた。
[0206] 以上の結果から、 ∑領域の構成が明らかとされ、 ま た ARAJH1中に∑領域がクローニングされていたこ とが 実証された。
[0207] このよ う に してクローニングされた∑領域は、 免疫 グロプリ ンのク ラススィ ツ チに重要な役割り を演じて いる可能性が示され、 ∑領域、 あるいは該領域に関連 した遺伝子群のクローニングは、 免疫グロブリ ンのク ラススイ ツ チの解明に必要な技術や試薬を提供する上 で極めて有用である こ とが示された。 更に、 先に述べ たよ う に、 抗体のサブク ラスの種類を所望に応じて調 節する ため に必要な技術を確立する ために有用であ る。
[0208] 実施例 3
[0209] ( D N A レベルでの リ ア レンジメ ン 卜 )
[0210] 実施例 1 および実施例 2 で明らかとされた∑領域、 ある いは該領域に関連し た遺伝子群の機能の検討か ら、 例えば第 7図に示すよ う な D N A リ ア レンジメ ン 卜 の可能性が示唆された。 そ こで、 ヒ 卜胎盤由来胎児型細胞、 HL60、 ARA10 、 Jurkat、 Daudi の各細胞から常法に従って D N Aを調 製し、 EGORI消化物を得た。 得られた各消化物をァガ ロース ゲル電気泳動にかけて分画し、 更に ARAJH1を プローブと してサザン Λイブリダィゼーシヨ ンを行 なった。
[0211] その結果、 第 8図に示すよう に全ての細胞について 23kbの位置に ARAJH1とノ、ィブリダイズするバン ドが検 出され、 更に ARA10細胞においては 9.8kb 付近に 1 つ、 Daudi 細胞においては 9.8kb 及び 9.8kb と 23kbの 間に ARAJH1に )ヽイブリダィズするパン ドが 2つ検出さ れた。
[0212] この結果は、 C 5領域の欠失による H鎖遺伝子のリ アレンジメン トが起きていることを示唆している。
[0213] 従って、 このリ アレンジメン トの生じている細胞を クローン化して用い、 ミエローマ細胞との融合による ノヽイブリ ドーマを作製し、 μあるいは特異的な丫サブ クラスに対応する H鎖構造を有する所望の抗体を得る ことが可能となる。
[0214] 実施例 4
[0215] (マウスの免疫グロブリ ン遺伝子での s g c配列の存 在確認)
[0216] まず、 D N A合成機 ( Applied Biosystem Inc. ) に よ り、 ヒ トの C — C 5 イ ン 卜ロン中に見い出された 63bpの D N A配列 (ヒ 卜 s g cが相同性を有する配列 ) と相同性を有する第 10図 (b)に示す 66merからなる D N A断片を化学的に合成した。
[0217] 次に、 得られた 66merをプロ一ブと して用いてク 口―ン E P 12 (Roeder, W. , R. mak i , A. Trauneckerand S, . Tonegawa. 1981. Linkage of the four y subclass heavy chain genes. Proc. Natl. Acad^ Sci. 78 : 474-478 ) のサザ一ン ノィ ブ リ ダイ ゼ一 シ ヨ ンを行なった。
[0218] なお、 クローン MEP12の制限酵素地図は第 12図(a) に示される。
[0219] 上記ハイブリダィゼ一シ ヨ ンの結果、 丫 2 b— 丫 2 &ィ ン 卜ロン中に数ケ所の 66merプローブに陽性のシグナ ルを与える領域が存在することが確認された。 これら の陽性シグナルを与える領域が存在するこ とが確認さ れた。 これらの陽性シグナルを与える領域の中で、 C丫 2a遺伝子の 10kb上流に位置する 860bpの BamHI - Hindm断片 [第 12図(a) において <→で示された部位] が最も強いシグナルを与えた。 この BamHI— HindlH断 片 ( 860bp)のヌク レオチ ド配列を分析したと こ ろ第 12 図(b) に示す結果を得た。 この 860bp断片中の配列を 調べたと こ ろ上記 66merプローブと相同性を有する配 列 (枠で囲ってある 69bpの配列) が見い出された。 こ の 69bp配列からの一次転写物は第 12図(c) に示すよ、う - - に先に述べた t R N A様構造を形成し得るものであつ た。
[0220] 以上の結果は、 マウスと ヒ 卜の双方に C "T遺伝子の 上流領域に、 その一次転写物が t R N A様構造を形成 し得る D N A配列 ( s g c配列) が存在していること が示された。
[0221] 実施例 5
[0222] ( σ y領域のプロモーター活性の検出)
[0223] Dignamら ^ D i gnam, J. D . , R. M. Lebovi tz and R. G. Roeder. 1983. Accurate transcript ioninitiat ion by RNA polymerase Π in a soluble extract form i s o 1 t ed mamma 1 i an nuclei. Nuc . Acids Res . 11:
[0224] 1475-1489 ) の方法に従って、 Hela細胞の抽出物から 転写用混合液を調製し、 以下に示す鎳型 D N Aをそれ ぞれ個々 に用いた in vitro での転写物 ( R N A ) の 合成に使用した。 なお、 铸型は 50μ g/mlの濃度で用い た。
[0225] 鐯型 D N A
[0226] (a) BamHI 一消化 SG4
[0227] (b) BamHI 一消化 pSG3
[0228] (c) R N Aポリメラーゼ I プロモータ一を含 む D N A [ Dr. M. Muramatsu (東京大学) よ り入手]
[0229] (d) R N Aポリメラ一ゼ mプロモータ一を含 む Adeno VA D N A
[0230] (e) Hindffl一消化 pSG3
[0231] (f) Hindm一消化 pSG4
[0232] なお、 上記組換えプラス ミ ド PSG3及び pSG4 は、 実施例 2 で得た σ 丫 3 及び σ 丫 4 を含む EcoRI — Hind ΠΙ断片を、 電気泳動による分画、 リガーゼを用いた反 応等の操作を含む常法に従って pUC9中に再クロー二 ングして調製したものである。
[0233] ま た、 上記 (a)〜 (d) の鐯型 D N Aを用いた場合に ついて は、 α —アマ二チ ン濃度を 0 、 1 、 50、 250 g/mlと変化させた。
[0234] R N A合成反応のためのイ ンキュベー ト終了後、 合 成された R N Aはフ エノ ール · クロ口ホルム混液で抽 出し、 グリ オキサール処理した後、 1.8 %ァガロース ゲル電気泳動にかけ、 分画された R N Aを染色して分 析した。 なお、 サイズマ一カーと して用いた D N A も グリ オキサール処理しておいた。
[0235] この電気泳動において次の結果が得られた。
[0236] BamH I 消ィヒ pSG 4 (a) を用いた場合、 α —アマニチ ン無添加及び α - アマ二チン濃度 1 g/mlでは、 少 なく と も 600bp 、 970bp 、 1150bp 、 1400 bp 、 2000bp及 び 220 Obpに相当する位置にバン ドが検出され、 - マ マ二チン濃度が 50 g/mlでは 600bp に相当する位置の みにバン ド が検出され、 更に α —アマ二チン濃度が 250 ^ g/mlに高められた場合にはバン ドは検出されな かっ た。
[0237] BamHI消化 pSG 3 (b) を用いた場合、 α—アマニチ ン濃度が 50)Li g/nilのときに、 600bp 及び 1400 bpに相当 する位置にバン ドが検出された以外は、 上記 BamH I消 化 P S G 4 (-a) を用いた場合と 同様の結果が得られ た。
[0238] -また、 R N Aポ リ メ ラーゼ I プロモーターを含む D N A (c)を用いた場合、 α—アマ二チン濃度に依存 することなく常に少なく とも 800bp に相当する位置に バン ドが検出された。
[0239] —方、 R sT Aポ リ メ ラ一ゼ ΠΙプロモーターを含む Adeno YA D N A (d)を用いた場合では、 α—アマ二 チン無添加、 α—アマ二チン濃度 1 iLt g/ml及び 5 i g/mlで、 150bp に栢当する位置にバン ドが検出され たが、 α—アマ二チン濃度 250 μ g / m 1で は こ の 150bp に相当する位置のバン ドは消失した。
[0240] 更に、 HindHI消化 pSG 3 (e) 及び HindlE消化 pSG 4 (f) をそれぞれ用いた場合については、 少なく と も lOOObp, 1600bp, 1800bp, 2150b 及び 250 Obpに相当する 位置にバン ドが検出された。 ' 以上得られた電気泳動の結果から、 P S G 3 及び pSG 4 にプロモーター活性を有する領域が存在し、 そ のプロモーター活性によって、 pSG 3 及び pSG 4 のプ 口 モータ一活性領域の下流にある部分が転写された R N Aが合成されている こ とが示された。
[0241] そこで、 得られた各 R N Aの塩基対数と、 第 15図に 示す pSG 3 及び pSG 4 の構成と を比較検討し た と こ ろ、 合成された R N Aは第 15図に示した、 以下の塩基 対数を有する B — 1 〜 8 — ¥及び 11 ー 1 〜 11 ー に対 応している こ とがわかっ た。
[0242] B - I : 600bp B - II : 970bp
[0243] B - ΠΙ : 1150bp B - IV : 2000bp
[0244] B - V : 2200bp . H — I : lOOObp
[0245] H - II : 1600bp H - ΠΙ : 1800bp
[0246] H - IV : 2150bp H - V : 2500bp
[0247] 更に、 これらの結果を解析したと ころ、 第 15図に書 で示す 3 つの主要なプロモーター活性部位が同定され た。
[0248] これらの中の 1 つは pUC 9ベクタ一中に位置してい た。
[0249] 実際に pUC 9 ベク ターのみを用いて上記 と 同様の R N A合成を行ない、 プロモーター活性領域が存在す る かど う か検討し た と こ ろ 、 pUC 9 ベク タ一にプロ モータ一活性領域が 1 つ存在する こ とが確認され、 そ の位置は第 15図に示す位置に対応していた。
[0250] —方、 他の 1 つは、 s g c配列 (第 15図の σ y 3 及 び σ γ 4 中の釅で示された部分) の 230bp上流にあ り、 これは σ丫 3 及び σ γ 4 で共通であった。
[0251] 更に、 他の 1つは、 それぞれ σ丫 3 、 σ r 4 領域の 上流に存在していた。
[0252] 他方、 pSG 3 及び pSG 4 をサンプルとして用いた場 合の R N A合成の α —アマ二チンに対する感受性は、 R N Aポリメラーゼ mを用いた場合と同様であること から、 pSG 3 及び pSG 4 中に見られたプロモーター活 性は R N Aポリメラーゼ ΠΙを介在するものである と考 えられる。
[0253] 更に、 先にクローニングした σ丫 i または σ 丫 2 を 含むクローンを上記と同様にして pUC 9 に再クロー二 ングし、 これらにプロモーター活性が存在するかどう か上記と同様の方法により調べたところ、 σ γ ι 及び σ r 2 につレ、ても σ 丫 3 または σ 丫 4 と同種のプロ モーター活性が認められた。
[0254] 実施例 6
[0255] ミエローマ患者三百数十名の血清免疫グロブリ ンを 検査し、 IgD を比較的多量に産生する患者 4名を選択 した。
[0256] 次に、 これら患者よ り、 それぞれ骨髄あるいは末梢 血を採取して、 常法によ り リ ンパ球分画を分離し、 D N Aを調製した。
[0257] 次にこの D N Aを Hindm処理して、 Hindffl消化物を 調製した。 得られた Hindm消化物のサザーンハイブリダイゼ一 シヨ ンを行なったと ころ、 上記リ ンパ球分画において と の間で D N A リ ア レンジメ ン ト が起こって いるこ とが解析された。
[0258] すなわち、 先に詳述した D N A リ アレンジメ ン ト の メカニズムを実際に経た IgD に富む抗体を産生する抗 体産生細胞ある いは B細胞が単離された こ と にな る。
[0259] なお、 以上の実施例中でのノ、イブリダィゼーシヨ ン は特に明示されていない場合は、 Wahlら (Wahl. G.M. , M. Stern and G. R. Stark. , 1979. Efficient transfer o f large DNA fragment s from agarose gels to d iazobenzy 1ひ xymethy 1 paper and ra i d hybridiza - t i on by using dext ran sulfate. Proc. Nat 1 - Acad. Sci. 76:3683-3687 ) に従って行なった。 寄託された微生物への言及 下記クローンは、 NCIMB (National Collection of Industrial and Marine Bacteria; P 0 Box 31, 135 Abbey Road, Aberdeen AB9 8DG, Scotland, UK ) にブ タペス ト条約に基づいて寄託されており、 その寄託曰 及び寄託番号は以下のとおりである。
[0260] クローン 1 : 寄託日: 昭和 63年( 1988) 10月 6日
[0261] 寄託番号: 4QD6D - _ _
[0262] 一 δ 2 - クローン 2 ; 寄託日 : 昭和 63年(1988) 10月 6日 寄託番号:40061
[0263] クローン 3 ; 寄託日 : 昭和 63年(1988) 10月 13曰 寄託番号:40063
[0264] クローン 6 ; 寄託日: 昭和 63年(1988) 10月 13曰 寄託番号: 4QG64
权利要求:
Claims請求の範囲
1 . ヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖遺伝子の J領域下流のェ ンハンサ一配列 と C μ遺伝子上流のスィ ツ チ配列
( S μ ) との間に位置するイ ン 卜ロン部分 D Ν Α配列 である σ μ遺伝子を含む組換え体 D N A。
2 . 前記 σ μ遺伝子が; Iファージ中にクローン化され た請求項 1 記載の組換え体 D N A。
3 . ヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖遺伝子の J領域下流のェ ン 八 ンサ一配列 と C μ遺伝子上流のスィ ッ チ配列
( S μ ) との間に位置するイ ン トロン部分 D Ν Α配列 である σ μ遺伝子と相同性を有し、 該 遺伝子と C 5遺伝子の間に位置する ∑ μ遺伝子を含む組換え体 D N A 。
4 .. 前記∑ μ遺伝子がんフ ァージ中にクローン化され た請求項 3記載の組換え体 D N A。
5 . ヒ 卜免疫グロブリ ン I g Xの構成要素である重鎖 を.コー ド する不変領域遺伝子 C x [ X は、 "T 3 、 r 1 Ψ ε 、 a i ν r 2 - 4 、 ε または c∑ 2 (その 際前記 I g Xの X はそれぞれ G 3 、 G 1 、 φ E , A ! 、 G 2 、 G 4 、 Eまたは A 2 となる) の上流に位 置するスィ ッチ配列の更に上流に存在する σ X 遺伝子
( Xは上記と 同様に定義される ) を含む組換え体 D N A 。
6 . 前記 σ χ 遺伝子が λファージ中にクローン化され た請求項 5記載の組換え体 D N A。
7 . 前記 σ χ 遺伝子が σ 3 遺伝子であり、 該遺伝子 がプラスミ ド中にクローン化されている請求項 5記載 の組換え体 D N A。
8. ヒ 卜免疫グロプリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び HindHIで処理して得られる σ 丫 3 遺伝子を含む EcoR I - HindlE D N A断片を含む請求項 5記載の組 換え体 D N A。
9. 前記 σ X 遺伝子が σ r 4 遺伝子であり、 該遺伝子 がプラスミ ド中にクローン化されている請求項 5記載 の組換え体 D N A。
10. ヒ ト免疫グロブリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び Hi ndmで処理して得られる σ 丫 4 遺伝子を含む EcoR I 一 Hindm D N A断片を含む請求項 5記.載の組 換え体 D N A。
11. 前記 σ X 遺伝子が σ 丫 i 遺伝子であり、 該遺伝子 がプラスミ ド中にクローン化されている請求項 5記載 の組換え体 D N A。
12. ヒ ト免疫グロプリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び HindlEで処理して得られる σ γ ι 遺伝子を含む EcoR I - HindlE D N A断片を含む請求項 5記載の組 換え体 D N A。
13. 前記 σ X 遺伝子が σ r 2 遺伝子であり、 該遺伝子 がプラスミ ド中にクローン化されている請求項 5記載 の組換え体 D N A。
14. ヒ 卜免疫グロプリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び Hindmで処理して得られる σ 丫 2 遺伝子を含む EcoR I - Hindm D N A断片を含む請求項 5記載の組 換え体 D N A。
15. ヒ 卜免疫グロブリ ン I g Xの構成要素である重鎖 を コ ー ド する不変領域遺伝子 C X [ X は、 Y 3 、 r 1 ·ψ &、 i 丫 2 、 r 4 ε ま は a s (その 際前記 I g Xの X はそれぞれ G 3 、 G ! 、 ψ Ε、 Α ι 、 G 2 、 G 4 、 Eまたは A 2 となる) の上流に位 置するスィ ッチ配列の更に上流に存在する σ x 遺伝子
( Xは上記と同様に定義される) の 1以上と相同性を 有し、 C μ遺伝子と C δ遺伝子の間にある ∑ χ 遺伝子 を含む組換え体 D N A。
16. 前記∑ X 遺伝子がんフ ァージ中にクローン化され た請求項 15記載の組換え体 D N A。
17. 前記∑ X 遺伝子が前記 σ x 遺伝子と しての σ γ 3 遺伝子、 σ r i 遺伝子、 σ r 2 這伝子及びひ 丫 4 遺 i 子と相同性を有するものである請求項 15記載の組換え 体 D N A。
18. ヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖遺伝子の請求項 15記載の ∑ X 遺伝子中及び請求項 3記載の∑ μ遺伝子の下流に ある繰返し 63塩基対 ; 該 63塩基対と相同性を有し、 請 求項: 3記載の σ 丫 3 遺伝子、 遺伝子、 σ 丫 2 遺 伝子及び σ γ 4 遺伝子のそれぞれに含まれる 63塩基 対 ; または該 63塩基対と相同性を有しマウス免疫グロ 7;リ ン重鎖遺伝子の C μ遺伝子と C S遺伝子の間にあ る 66塩基対からなるシグマガンマコア配列を含む組換 え体 D N A。
19. マウス免疫グロブリ ン重鎖遺伝子の J領域下流の ェンノンサー配列と C μ遺伝子上流のスィ ッチ配列と の間に位置するイ ン ト ロ ン部分の D Ν Α配列である σ μ遺伝子中に相補的な配列を有し、 C ju遺伝子と C δ遺伝子の間のイ ン ト ロ ン中にある繰り返し 76塩基 対または該 76塩基対と類似性を有するヒ ト免疫グロブ リ ン重鎖遺伝子の σ μ遺伝子中に相補的な配列を有 し、 C μ遺伝子と C 5遺伝子間のイ ン ト ロ ン中にある 81塩基対からなるシグマデルタコァ配列を含む組換え 体 D -Ν A。
20. 請求項 18記載のシグマガンマコァ配列または請求 項 19記載.のシグマデルタコァ配列を利用する R N A 卜 ランススプライ シングを用いたタンパク質の生産方 法。
21. ヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び Hindmで処理して得られる請求項 5記載の σ γ 3 遺伝子を含む EcoR I 一 Hindm D N A断片中のプロ モーター活性を利用した夕ンパク質の生産方法。
22. ヒ 卜免疫グロプリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び Hindmで処理して得られる請求項 5記載の σ γ 4 遺伝子を含む EcoR I — Hindm D N A断片中のプロ モーター活性を利用したタンパク質の生産方法。
23. ヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び Hindmで処理して得られる請求項 5記載の σ y i 遺伝子を含む EcoR I - Hindm D N A断片中のプロ モータ一活性を利用したタンパク質の生産方法。
24. ヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖遺伝子を制限酵素 EcoR I 及び HindHIで処理して得られる請求項 5記載の σ r 2 遺伝子を含む EcoR I — Hindm D N A断片中のプロ モーター活性を利用したタンパク質の生産方法。 ■
25. 請求項 18記載のシグマガンマコア配列及び また は請求項 19記載のシグマデルタコア配列と、 請求項 21 〜24記載の EcoR I — Hindffl D N A断片中のプロモー ター活性の 1以上とを組合わせて利用する R N A ト ラ ン ス スブラ イ シ ングを用いたタ ンパク質の生産方 法。
26. 造血細胞 D N Aの Hindm断片を調製し、 得られた Hindm断片からヒ 卜免疫グロブリ ン重鎖 J H 遺伝子を 含むプローブで検出できる 3.8kb D N A断片を選択し てクロ一ニングする過程と、 該 3.8kb D N A断片をプ ローブと してヒ 卜 D N Aフ ァージライブラ リーから該 3.8kb D N A断片に八イブリダィズするクローンをス ク リーニングする過程を有することを特徴とする請求 項 2、 4、 6 または 16に記載の組換え体 D N Aを得る 方法。
27. C S遺伝子が欠失したヒ ト免疫グロブリ ン重鎖遺 伝子を発現する細胞株に抗体を生産させる過程を含む ことを特徴とする抗体生産方法。
28. 前記細胞株が ARM0 または Daudi細胞である請求 項 27に記載の抗体生産方法。
29. C /X遺伝子および C 5遺伝子が欠失したヒ 卜免疫 グロブリ ン重鎖遺伝子を発現する細胞株に抗体を生産 させる過程を含むことを特徴とする抗体生産方法。
30. 前記細胞株が ARA10 または Daudi 細胞である請求 項 29記載の抗体生産方法。 、
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EP0344319A1|1989-12-06|
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引用文献:
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法律状态:
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优先权:
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